長久手合戦で池田恒興を討った永井伝八郎直勝の東端城址

安城市東端町に残る東端城址は小牧・長久手の戦いで池田恒興を討った永井伝八郎直勝の居城跡です。現在は城山稲荷大明神という神社になっています。

>>東端城址の地図

現地の石碑

 東端城と城主永井伝八郎直勝

 東端城は天正八年(1580)大浜郷にて羽城(※1)の司令を勤める長田久右衛門重元(※2)の長子・尚勝が築いた。城の構造は居館城から郭内城へ移り変わる過程にある代表的な城郭であった。蓬左文庫蔵の『東端城絵図』に見る東端城の姿は連郭構造の大規模な造りであったように描かれている。

 東端城が歴史の表舞台に出るのは尚勝の弟・直勝によってである。直勝は十三歳の時に家康の長男・松平信康に仕えたが天正七年(1579)に信康が自刃すると大浜へ帰り蟄居していた。しかしその後、十八歳の時には家康に仕えるようになり録三十貫を賜った。この時、姓を長田から永井に改め(※3)永井伝八郎直勝とした。

 天正十二年(1584)直勝二十二歳の時、初陣として小牧長久手の戦いに出陣した。ここで彼は敵将・池田勝入斎恒興の首を取る大殊勲をたてた。これにより東端村1000石の地を賜り、兄・尚勝に代わって東端城城主となった。その後、関ヶ原の戦いでも戦功を上げ、従来の領地に城ヶ入村、高取村を合わせて4050石さらに上総(かずさ)国、近江(おうみ)で5000石、合計10,050石となった。さらに大坂夏の陣では、豊臣秀頼切腹見届けの大役を勤めた。

 この功績でこれまでの領地を改め、上野(こうずけ)国小幡で10,000石、近江で2,000石、笠間近在で20,000石、合計32,000石を領有し常陸(ひたち)国笠間城の城主となった。この時、東端城を離れ、以後この城は廃城となる。

 直勝はその後も業績を上げ元和五年(1619)に常陸国新治(にいばり)郡柿岡、土浦両所にて20,000石さらに同八年には新たに下総(しもふさ)国内で20,000石を加え、合計72,000石を領し、下総古河城城主となった。その間、直勝は江戸にて評定所の奉行を勤めたが、寛永二年(1625)六十三歳で没した。

◆大浜郷の羽城
碧南市に残る羽城(大浜城とも)江戸時代には城跡に陣屋が建てられ大浜陣屋となりました。

◆長田重元
直勝の父・長田重元は初陣の織田信長を返り討ちにした武将。信長の14歳の初陣で長田重元の大浜城を攻めた信長は伏兵に遭い混乱。信長は命からがら逃げたものの織田軍は多く討ち取られ、その遺骸を葬った塚は13にもなり、その場所は十三塚(とみづか)という地名になりました。(現在は碧南市向陽町)

◆なぜ姓を変えた?
長田氏の先祖は野間大坊で源義朝(頼朝の父)を討った長田 忠致(おさだ ただむね)の兄・親致(ちかむね)といわれ、主君殺しの長田氏の姓は縁起が悪いと改姓したといわれています。

この人が永井直勝

永井伝八郎直勝は長久手合戦図屏風で池田恒興の首を討ったとして描かれている武将です。

永井直勝の生誕地は碧南市。宝珠寺に生誕地の石碑が建てられています。この宝珠寺は父・長田重元の館跡で墓地には重元の墓も残っています。

では居城跡

永井直勝の居城跡である東端城を見てみます。まず入口から高くなっており、高台にあったことがわかります。入るといきなり駐車場です。

縄張りは大きな曲輪に帯曲輪というシンプルなもの。北、東、西に巡らせていた土塁の痕跡が残っています。

鳥居が建つ場所も土塁の上です。

土塁の下に細長い曲輪がありますが、これが帯曲輪(腰曲輪とも)。西~北に向けて配置してあります。その下の水路は堀みたいです。

稲荷神社の井戸。城跡に井戸があると水脈は当時のものか?と想像していまいます。

個人的に気になったのがお隣の念空寺との間にあった道路。堀に見えてしょうがない(笑)。ちなみに愛知県中世城館跡調査報告では念空寺は城跡ではないという評価。するとここに堀があってもおかしくはないと思うのですけれど。

所要時間と私の感想

東端城の縄張りはシンプルなので所要時間は周辺をグルっと周るくらいなので10分ほど。私の感想ですが、東端城は永井直勝経由で長久手市、碧南市とも繋がります。この歴史の繋がりが歴史の面白さのひとつだと思います。

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