蒲郡市の市章のモデルになった竹谷松平氏の蒲形陣屋跡と鵜殿氏の下之郷城址

愛知県蒲郡市の市章は江戸時代にこの地を治めていた竹谷(たけのや)松平家の家紋・丸に一つ引き両がモデルになっています。その竹谷松平氏が江戸時代に政治を行っていた場所が蒲形陣屋です。この記事では戦国時代から幕末まで蒲郡市を治めた城や陣屋の歴史をチェックしてみます。

鵜殿氏から松平氏への歴史

戦国時代、蒲郡市の半分ほどは駿河の今川氏の一族・鵜殿(うどの)氏が治めていました。その拠点が上ノ郷城(かみのごうじょう)です。その分家が築いたのが下之郷城(しものごうじょう)です。松平元康(徳川家康)に本家・上ノ郷城の鵜殿氏は滅ぼされてしまいますが、下之郷城の鵜殿氏は松平氏に味方して家臣になります。そして関東に移されました。

同じ現在の蒲郡市に徳川将軍家の親戚で竹谷城を拠点にしていた竹谷松平氏がいました。竹谷松平氏は家康に従い各地を転封。慶長五年(1600)の関ヶ原合戦の功績で吉田城主(豊橋市)になります。

しかし七代・忠清(ただきよ)に跡継ぎがおらず断絶することに。そのかわり忠清の弟・松平清昌(きよまさ)が三河国宝飯郡に5千石を与えられ、下之郷城址に蒲形(かまがた)陣屋を構えました。これが明治まで続きます。

移築された大手門

まずは蒲形陣屋の前に蒲郡市博物館に行ってみます。すると入口に蒲形陣屋の大手門が移築されています。

復元移築 竹谷松平家大手門

この門は、様式的には高麗(こうらい)造りといい、竹谷松平家屋敷の大手門であったと考えられる。竹谷松平家は、慶長十七年(1612)に当地西ノ郷(蒲郡)に移り蒲形城(旧下之郷城)に居をかまえた。

この大手門は現在の蒲郡市本町の十王堂付近にあったと伝えられている。門扉のほぞに書かれていた墨書から、文化十五年(1818)の建造と推測され、明治初期に宝飯郡御津町に移築されたが、老朽化により平成三年九月に再び当地蒲郡に復元移築された。

平成三年九月 蒲郡市教育委員会

では陣屋跡

竹谷松平家が陣屋を構えたのは蒲郡市本町あたり。現在の愛知県立蒲郡高等学校の南に陣屋跡があります。まずは陣屋の大手門跡。ここに陣屋の入口である門がありました。それが先ほどお伝えしました。蒲郡市博物館に移築復元されている門です。

陣屋内は開発が進み住宅地になっていますが、蒲形陣屋の土塁といわれるものが残っています。じつはこの土塁、以前は戦国時代の下之郷城の土塁といわれており、蒲郡市指定史跡になっていました。しかし江戸時代の土塁と判明したため指定史跡が解除されてしまったという歴史があります。

私の感想は江戸時代の陣屋の土塁でも十分歴史的価値があると思いますので、再び蒲郡市指定史跡にしてほしいのですけどね。

かつて陣屋内で祀られていたといわれる稲荷社。今でも地元の方々がお祀りしています。

堀跡か?

蒲形陣屋周辺にも見どころがあります。まずはスマホアプリ・古地図散歩で明治二十二年(1889)頃の様子を見てみます。すると曲輪みたいな区画がありました。その外側、つまり堀跡と考えられる道を歩いてみます。

それがこちら。マンションの前に通る細い道が、堀を埋め立てて通された道でしょうか。

高低差

曲輪のような区画は住宅地になっています。でも見るべきポイントはあります。

それがこの高低差。高い場所は住宅地になっていますが、この高低差のすぐ南が先程の堀跡(と考えられる)場所です。

下之郷城の名残

戦国時代の下之郷城は江戸時代の蒲形陣屋を作る時に無くなりました。遺構もよくわからないのですが、地元に伝わる鵜殿氏時代の下之郷城址の名残りといわれる地名があります。まずは東郭(ひがしくるわ)。=曲輪からきた地名でしょうか。

道路の向かい側には西郭の地名が残り公民館になっています。この地名が地元では鵜殿氏時代の下之郷城の名残と伝わっています。

私の感想と注意点

今回紹介した史跡をグーグル・マップのマイマップでまとめてみたので、あなたの史跡めぐりに活用して下さい。

私の感想ですが、同じ蒲郡市に勢力を持っていた竹谷松平氏と鵜殿氏の交代劇みたいなものを今回の史跡巡りで実感できました。あと史跡を巡ってみて感じた注意点は、道が細い部分が多いので、車で訪れた際にはどこかに止めて徒歩で巡ったほうが効率が良いと感じました。

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