街道を封鎖し信長に嵐の海を渡らせた花井氏の知多市寺本城址(堀之内城)

愛知県知多市の寺本城址は、村木砦の戦いの時に今川方に付き、織田信長をとても困らせた武将・花井氏の居城です。別名・堀の内城

■寺本城の場所の住所■

知多市八幡堀之内 97

寺本城の場所の地図

隠れた名将・花井氏

織田信長研究の第一級資料・信長公記に村木砦の戦いという合戦が記載されています。これは織田信長が実戦ではじめて火縄銃を使用した記録がある合戦で要約すると次の通りです。

  1. 織田と決着がつかない今川は織田の同盟者・水野氏の緒川城を攻める事にした
  2. そこで今川氏は緒川城のすぐ近くに村木砦を築く
  3. 水野氏は信長に救援を要請
  4. 信長は斎藤道三から居城の留守を守る兵を借りてまで救援に向かう
  5. 緒川城に向かう街道を今川方に付いた花井氏が封鎖。信長は緒川城に行けない
  6. 信長は嵐の海を船で渡り緒川城に向かう。
  7. 緒川城に着いた信長。次の日から村木砦を攻め陥落させる
  8. 那古野城に帰る時、寺本城下に火を放ち帰陣

ここで重要な部分は5番。なぜかというと、信長に敵対した武将は数多くいますが、花井氏は街道封鎖という嫌がらせを成功させ、嵐の海を渡らせることに成功したからです。

もしかすると信長に海の藻くずとなっていたかもしれないリスク背負わせた功績は大きく、今川氏が村木砦の合戦に勝利していたら、それなりの恩賞をもらっていたかもしれませんし、今川の信用度もかなりUPしていたのではないでしょうか。まあ、全ては歴史のIFですがw

さて、そんな花井さんはヤル事はやったのですが、村木砦が信長&水野さんの攻撃に持ちこたえられず、花井さん関係なく落城してしまい、孤立することに。結果、今川の村木砦大部隊が去った後、信長に城下を焼きはらわれた訳です。ではそんな花井さんの居城・寺本城跡はどうなっているのか?現地レビューをチェックしてみましょう!

いわくつきの城下

寺本城跡は知多市八幡堀之内にある津島神社になっています。周辺は閑静な住宅地ですが、よく見ると住宅街の中に堀の内という石碑が建っています。信長公記に城下が焼き払われたという記載があるので、寺本城にも城下町、もしくは家臣団の屋敷が集中している地域があったのでしょう。

そして高低差

寺本城址といわれる津島神社がある場所は周辺から独立した高台になっており、高低差が城跡を偲ばせます。でも愛知県教育委員会編集の愛知県中世城館跡調査報告Ⅳ知多地区には、周辺はかつて丘陵が続いており、削平によって現在のようになったとの記載があります。もしかするとこの畑も曲輪の跡だったのかもしれません。

現状は神社

そして城跡へ登っていきます。本丸(津島神社)への階段を見てもらうとわかる様に高低差を活かした城だったのでしょう。

本丸は基本、津島神社になっており、人工的な削平地が広がっています。これは城当時のものか、もしくは神社を建立する時に整備されたものか分かりませんが、ここが本丸と伝わる場所なので、ある程度削平地もあったのでしょう。残っている遺構らしきものはこの削平地のみで、堀や土塁が見当たらないのは残念ですね。

城主の花井氏とは

村木砦の戦いの後に織田氏に属することになった花井氏は、室町時代から知多半島北部に勢力をもつ豪族でした。寺本城から西南へ約500mほど行った知多市八幡普ケ脇に大祥院という寺がありますが、この大祥院の開祖が寺本主・花井信忠で、嘉吉二年(1442)に建立されました。

嘉吉二年(1442)って、戦国時代の始まりを応仁元年(1467)と考えると、応仁の乱以前のかなり古い寺ということでもありますね。

またこちらは名古屋市緑区の大高城の看板。これを見ると大高城の築城者は花井備中守とあります。大高城は寺本城から直線距離で約7kmくらいしか離れていないので、もしかすると同じ一族なのかもしれませんね。この辺はもっと郷土史レベルで花井氏を調べてみないと分かりませんが、意外な歴史の繋がりが発見されるかもしれません。

私の感想

寺本城跡は信長公記を詳しく読んだ人、もしくは知多半島の郷土史を調べている人くらいしか知らない城跡です。でも個人的に花井氏は好きですし、村木砦の戦いを語る時、花井氏の活躍も重要なポイントなので、その居城だった寺本城はやはり歴史の現場ということで要チェックな城だと思います。

高低差、曲輪、もしかすると城下町だったかもしれない住宅地以外に遺構らしきものが無いので、所要時間は津島神社と周辺の散策時間で約30分もあれば十分といった感じでした。時間もそんなにかからないので、車で訪れる場合、大草城や大野城とセットにすると良いでしょう。

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