岡崎市矢作橋にある豊臣秀吉と蜂須賀小六の出合いの像

 国道1号線を名古屋方面から岡崎市に向かう途中、矢作橋(やはぎばし)に何やら石像があります。

 実はこれ、豊臣秀吉と蜂須賀小六正勝が出会った時のエピソードを表現した石像なんです。それが出会之像

 でも蜂須賀小六正勝は愛知県あま市の出身ですし、豊臣秀吉も名古屋市中村区の生まれ。つまり尾張の2人がなぜ三河岡崎の矢作橋で出会ったのか?これには深いワケがありました。

秀吉と小六の出合い

 石像の側にある説明版には、次の様なエピソードが書いてあります。

 豊臣秀吉は子供の頃、日吉丸(ひよしまる)という名前で、尾張中村(現在の名古屋市中村区)で生まれました。

 父は織田信秀(信長の父)の足軽・弥右衛門という人物で、日吉丸は8歳の時に奉公に出されましたが、12歳で奉公先を飛び出し、実家に帰ることもできずに岡崎の矢作橋で野宿していたのです。

 その矢作橋に尾張北部で勢力を持っていた野武士で盗賊の統領・蜂須賀小六が通りがかり、矢作橋の隅で野宿していた日吉丸の頭を蹴飛ばしました。

 日吉丸は怒って小六に言い寄ります。

 『人の頭を蹴り、お詫びもしないで通ろうとは無礼だろ!謝れ!』

 すると蜂須賀小六は、『子どもなのに度胸があるではないか。手下にするからその初手柄を見せよ』と日吉丸に言います。

 日吉丸はうなずき、橋の東にある味噌屋に侵入し、小六たちを味噌屋に引き込みます。

 しばらくの間、味噌屋を荒らしていた小六達でしたが、味噌屋の人がそれに気づき、小六たちは味噌屋から逃げます。

 小六たちを逃がすために、日吉丸は味噌屋の連中を引き付けたのですが、自分も逃げなければなりません。

 そこで日吉丸は一計を案じます。

 味噌屋の井戸の中に大きな石を投げ入れたのです。『ドボン!!』。

 すると味噌屋の人たちは、泥棒が誤って井戸に落ちたと思い込み、井戸の周辺に集まり、井戸の中を覗き込みました。

 日吉丸はそのスキに逃げ込み、小六たちに追いつきました。

 その後、日吉丸は木下藤吉郎秀吉と名を改め、織田信長に仕えます。

 それから墨俣一夜城築城、稲葉山城(岐阜城)攻略と数々の手柄を上げますが、その手柄をサポートしたのが蜂須賀小六正勝を統領とする川並衆だったのです。

 後に蜂須賀氏は秀吉の配下となり、小六の息子・蜂須賀家政が豊臣政権で阿波国(現在の徳島県)の国主となります。

 ということで、豊臣秀吉を蜂須賀小六正勝が出会った時のエピソードを現した石像が、現在の岡崎市矢作橋に建っているのです。

これは嘘です…

 さて、ここで終われば、めでたしめでたしとなるのでしょうが、この石像には少し補足があるのです。

 まず2人が出会ったとされる矢作橋は、慶長六年(1601)に初めて架けられた橋なのですが、豊臣秀吉は慶長三年(1598)に62歳で亡くなっています。

 つまり矢作川に初めて橋が架けられる前に秀吉は亡くなっているのです。

でも歴史的意義がある理由

 そこで思うのが、『なんだ、嘘の石像なのか』という事なのですが、これは解釈によって違うと私は思います。

 まず、豊臣秀吉と蜂須賀小六正勝が矢作橋で出会ったということは嘘でしょう。史実とは異なると思います。

 でも?

 これを【江戸時代のベストセラー絵本太閤記の名場面の現場】と、捉えれば、ある意味歴史的な意義はあると思います。

 実際に江戸時代、徳川幕府批判の風潮なのか、豊臣秀吉の伝記が人気がありました。いくつか出版されたのですが、このエピソードは絵本太閤記に出てくるもので、庶民に人気があったのです。

 つまり、戦国時代の史実ではないのですが、後の江戸時代に人気があった絵本太閤記の名場面の石像として捉えれば、この石像も〇だと私は思います。

井戸もある

 ちなみに今回紹介したエピソードに出てくる味噌屋は、現在も岡崎市八帖町にある、まるや八丁味噌です。

 まるや八丁味噌には、『日吉丸石投の井戸』があり、工場見学の時に拝観できます。

 石像とは違うエピソードが伝わっていますが、豊臣秀吉ゆかりの井戸という点では同じです。

>>工場見学のレビュー記事

そしてパッケージにも

 まるや八丁味噌の隣にあるカクキュー八丁味噌では、旧国鉄時代出していた岡崎駅の広告看板に、このエピソードの絵がありました。

 また八丁味噌のパッケージにも豊臣秀吉と蜂須賀小六が出会ったエピソードの絵が採用されています。

 岡崎市といえば徳川家康で有名な場所ですが、意外な戦国武将たちの逸話も残っているのですね。

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