織田信長が切り取った東大寺正倉院の蘭奢待が一宮市真清田神社にある理由

愛知県一宮市に尾張国の一宮である真清田(ますみだ)神社がありますが、ここには戦国ファンは一度は見てみたいお宝があります。それは織田信長が切り取った東大寺正倉院の蘭奢待です。※蘭奢待の読みは『らんじゃたい』です。

その前に蘭奢待(らんじゃたい)とは何か?そしてなぜ真清田神社にあるのか?という疑問をチェックしておきましょう。

>>真清田神社のアクセス

蘭奢待とは

蘭奢待とは、東大寺正倉院に収蔵されている香木(こうぼく)の事です。少量を切り取り、香炉に入れて火を付け、香りを楽しみます。蘭奢待は東南アジアで産出された伽羅(きゃら)という香木で、時期には諸説がありますが、推古天皇3年(595年)くらいから10世紀くらいにかけて中国経由で日本に伝わったといわれています。

誰でも気軽に切り取れるものではなく、日本史に残る限りでは、足利義満、足利義教、足利義政、土岐頼武、織田信長、明治天皇の6人しか切り取る事が許可されませんでした。調査の結果、実際には50回以上切り取られた痕があり、蘭奢待を運んだ時や東大寺の関係者により切り取られたともいわれていますが、日本史において蘭奢待を切り取る事は、権力の大きさ、強さを世に示す行為でもあったんですね。

織田信長が蘭奢待を切り取ったのは天正2年(1574)で、香りを楽しむために蘭奢待を切り取った訳ではなく、当時の権力を世に示すためといわれています。ちなみに切り取りが終わったら、いくつかの小分けにして家臣に与えました。そのうちのひとつが村井貞勝に与えられ、さらに貞勝から一宮城主で真清田神社の神官だった関氏(せきし)に与えられ、それが現在でも真清田神社に伝わっているんです。

蘭奢待はここで見れる!

その蘭奢待が真清田神社の宝物館で見る事ができます。ちなみに宝物館は有料で開館時間もあるので注意が必要です。

【開館日】

・土日祝日

【料金】

・大人200円

・高大生150円

・小中学生100円

【開館時間】

午前10時~午後3時

中は撮影禁止なので、蘭奢待を見た感想を文章で書いてみますね。まずはマッチ棒の少し太い様な形で、それがいくつかに束ねてあり、筒状の容器に入っていました。この容器もガラス越しに見る事ができ、蘭奢待の匂いを嗅ぐことも触ることもできません。

つまりガラスケース越しに見るだけなのですが、形状などハッキリわかり、これが戦国時代に織田信長が東大寺の正倉院から切り取った蘭奢待かと思うと、やはり感動しますよ。

拝観料は200円ですが、それだけの価値は十分にあると私は思いました。このほか宝物殿には真清田神社の祭礼の品などが展示してありますが、戦国時代に関連するものは日本刀くらいなので、蘭奢待がメインになりました。まあ、蘭奢待を見る事自体、宝物館の200円はペイできると思います。

関氏の居城・一宮城

蘭奢待を村井貞勝から授かり、自分が神官を務めていた真清田神社に残した関氏ですが、その居城跡は現在でも残っています。現在の一宮市本町にある三菱東京UFJ銀行前に一宮城跡という石碑があるので、戦国時代にはこの周辺に城があり、その城主が関氏だったという事です。

>>一宮城の詳細

伽羅はここでチェック!

ちなみに蘭奢待は伽羅(きゃら)という香木ですが、その伽羅を名古屋港ポートビルで見る事ができます。名古屋港ポートビルは、貿易の歴史などを展示説明しており、その中に伽羅の展示もあるんです。

ちなみに香木の匂いを嗅ぐこともできます。伽羅=蘭奢待という訳ではないですが、香木とはどんなものなのか?という事を知る事ができますよね。

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