■発行所 株式会社 筑摩書房
■著者 大久保彦左衛門
■翻訳 小林賢章
■値段 1300円(+税)
■一言で言うと 大久保彦左衛門の三河物語の現代語訳版
徳川家康の家臣で天下のご意見番として知られる大久保彦左衛門忠教(おおくぼひこざえもん ただたか)が書いた三河物語は、歴史好きのあなたならどこかで名前くらいは聞いたことがあると思います。その三河物語を現代の言葉に訳したのがこの本です。
老人の愚痴と自慢話
『三河物語ってどんな内容?』は徳川家の先祖である松平家の成り立ちから、大坂の陣までを徳川家臣の大久保彦左衛門の視点で描いたものです。ひとつひとつの章が短く構成してあり読みやすい。
ただ歴史を見る時、あくまで公平的な中立の視線で見ることが大事なのですが、思いっきり自分の感想を集めた内容になっています。でも逆に当時を生きた人間のリアルな感想を知ることができるので、その点では貴重な内容です。
あの話の裏側
三河物語の読み方のひとつに他の資料との比較があります。分かりやすく言うと大きな出来事を比べてみること。例えば、
・桶狭間の戦い
・三方ヶ原の戦い
・長篠の戦い
・本能寺の変
など、同時期の資料・信長公記にもこれらの大きな出来事の記述がありますが、信長公記は織田信長の家臣だった太田牛一が書いたものです。これらを徳川目線の三河物語と比較すると、合致する部分と独自の部分が出てくるのが面白い。どちらが正しいとか間違っているとかの議論ではなく、視点が違うと歴史の受け取り方が違うという楽しみに気づきます。
私の感想
三河物語は歴史本やNHKの歴史番組で、たびたび参考資料として出てくるので、その三河物語には何が書かれているのか?これは一読していたほうがよいと思います。その理由は自分の意見の裏付けになるから。『三河物語に●●と書かれているので、私は▲▲と思います』など、引用や裏付けにすると、自分の意見も説得力が増しますね。また単に読み物としても、徳川目線というのが面白かったです。