■発行 西尾市教育委員会・西尾城再建友の会
■価格 2,000円(税込)
■ひとことでいうと 西尾城の絵図を64枚も収録した絵図集
西尾城址は巡り甲斐がある城址のひとつです。日本100名城、続100名城には指定されていないものの、現在でも総構えの遺構をぐるっと巡る事ができます。その西尾城の絵図を集めたのが西尾城絵図集です。
なぜ絵図が残ってるのか?その理由
城の絵図が描かれた理由はいくつかありますが、その主な理由が城の修復です。例えば台風、地震、大雨などの自然災害に遭った場合、城の修復をするわけですが、武家諸法度で幕府に届けずに勝手に修復する事は禁止されていました。
なので絵図を作り、『この部分がこんなふうに壊れたので修復させてください』という許可を絵図で説明したのです。
江戸時代だからこそ個性豊かな絵図
現在の測量地図は基準に沿って作成されます。しかし江戸時代はその基準がなく、絵図を作成する者が何を強調したいか?によって絵図が描かれていました。
例えば本丸周辺は詳しい記載があるけれど、城下町部分は文字が書かれていない絵図があります。これは本丸周辺の情報を説明したい絵図であり、城下町は参考程度に描いているのです。
また逆に城下町の配置(侍屋敷、町人の町)などを詳しく記載してある絵図や水堀を強調している絵図もあり、フォーマットも様々で個性豊かです。
どこで購入できる?
購入場所は以下の施設です。
ちなみに西尾市資料館は西尾城址公園に隣接している資料館です。私はそこで購入しました。
私の感想ですが、西尾市に住んでいる方や土地勘がある方、そして西尾城に興味がある方にはオススメの1冊だと思いました。その理由は巻末にある絵図の説明です。
収録してある絵図の特徴を1枚ずつ解説してあり、その絵図のポイントや作られた意図がわかります。それを読んでいると西尾市の細かな歴史がわかるのです。また現在の住宅地に残る遺構なども絵図から分かります。
私も以前、愛知県の城を巡る愛知ウォーキング城巡りクラブで西尾城の見学会を行いましたが、総構え(そうがまえ)といって、城下町を城の中にスッポリと取り入れた縄張りがよくわかり好評でした。その城巡り見学会のコースもこの西尾城絵図集を参考にしました。
研究でも現場でも役立つ絵図集だと思います。