愛知県西尾市吉良町に富好新田(とみよし しんでん)という地名があります。
諸説ある中、この地名は元禄事件で有名な吉良上野介義央(よしなか)の奥さん由来の地名という説があるのです。
なぜ地名に奥さん由来の名前が付くのか?
これは吉良町には有名な伝承でもあるので、分かりやすくまとめて解説します。
富好新田の場所はどこ?
まず富好新田は西尾市のどこにあるのかという、位置的な事を説明します。
富好新田は西尾市吉良町南部の海に近い場所です。
近くには名鉄西尾線と蒲郡線の乗換駅である、吉良吉田駅があります。その他、近くにある学校や有名な施設は以下のとおりです。
- 西尾市立白浜小学校
- 愛知県立吉良高等学校
- 西尾市立白浜保育園
- 吉良吉田郵便局
など。
なぜ地名に?
ではなぜ吉良上野介義央の奥さんの名前が地名になったのか?それは吉良上野介義央が現在の吉良町に所領があった元禄年間にさかのぼります。
この頃、義央(よしなか)の奥さんである、富子夫人は眼病を患っていました。
そこで眼病回復を見延山(山梨県)に祈願したところ、たちまち回復したのです。
その感謝の気持ちから、所領があった現在の西尾市吉良町南部に新田開発を思い立ち、富子夫人にちなんで富好新田(とみよし しんでん)と地名を付けたといわれています。
しかし新田開発はスムーズには進みませんでした。
元禄元年(1688)から工事に取り掛かりますが、途中、暴風雨により堤防が決壊するなど難工事でした。
でも10年後に東西約1km、南北約900m、石高約1千石の広大な土地が出来上がったのです。
ちなみに西尾市には他にも●●新田という地名があり、海岸を埋め立てて田んぼを作っていました。
この事から、富好新田も全てが吉良上野介義央が領主の時に作られた訳ではないという説もあります。
しかし地元である吉良町の人たちの中では、義央を慕ってこの逸話が語り継がれているのです。