名古屋市緑区の尾張向山砦は、桶狭間合戦時に大高城を包囲していた織田軍の砦跡です。
織田信長は今川方となった鳴海城と大高城を力攻めにすることはなく、複数の砦を築いて兵糧攻めにしました。
そのうち鳴海城と大高城を分断するために鷲津砦、丸根砦を築き、南方の知多半島からの支援を遮断するために火上山砦、向山砦、正光寺砦を築きます。
信長公記には鷲津砦と丸根砦しか記載がなく、向山砦は伝承レベルですが、その候補地と思われる場所があるのでこの記事でチェックしてみましょう。
向山砦はここ!
その候補地とは、大高城の南約200mのところにある西向山の地名の場所。現在この場所には春江院という寺院が建っています。
春江院(しゅんこういん)は曹洞宗の寺院で山号は大高山(たいこうざん)。創建は桶狭間合戦以前の弘治二年(1556)。当時大高城城主だった水野大膳が父・水野和泉守の菩提を弔うために創建した寺。
戦国時代の合戦を見てみると、寺院を城に改造した事例もあります。織田信長の弟・織田信行の龍泉寺城(名古屋市守山区)がそうですね。
ちなみに現在は普通に寺院として運営されており、砦時代を偲ばせる遺構などは残っていません。
■向山砦の場所の住所■
名古屋市緑区大高町西向山5
場所が近いか?
ところでネットで向山砦を検索してみると、今川方の大高城と場所的に近すぎるという指摘がチラホラあります。
実際に向山砦(織田)と大高城(今川)の直線距離は約200mほどです。しかし鳴海城と善照寺砦の事例を見てみると、不自然もでありません。
鳴海城(今川)を包囲していた砦のひとつに善照寺砦(織田)があります。これを見ると直線距離で約300mです。しかも同じ台地上で堀切ひとつ隔てただけの対峙でした。
そう考えてみると、大高城と向山砦は地続きではないので、距離的なものも関係ないと思います。
私の感想
私の向山砦の感想ですが、向山砦単品だと5分とかで終わるので、周辺にある大高城、正光寺砦もセットにすると史跡めぐりの充実度もアップすると思います。
ちなみにJR大高駅で下車して、正光寺砦、向山砦、大高城の3つを巡る所要時間は徒歩で約1時間ほどです。
さらに北側にある鷲津砦、丸根砦も入れれば、半日ほどたっぷりと桶狭間合戦の城巡りを楽しむことができると思いました。