■発行所 株式会社講談社
■編著者 千田嘉博
■価格 1,600円+税
■一言でいうと
千田嘉博氏が日本の城を石垣から解説した初の石垣本
城の見方というか、楽しみ方ってたくさんあります。例えば天守が好きな人、城門が好きな人、または山城専門の人もいれば、城下町に特化して散策している人などなど。
そんな中、石垣が好きな人、つまり石垣フェチという人にオススメなのがこの、石垣の名城です。
石垣好きのために
この本は簡単に言うと、今までに無かった石垣に特化した本です。
城に関しては、歴史人や一個人、または歴史REALといった雑誌で特集が組まれ発行されてきましたが、なにせこの石垣の名城は石垣を中心に城を解説した本で、まず最初に石垣ありき、そして天守や縄張りがそれに付属するという、石垣中心に書かれた本です。
名古屋城のアレも…
この本の著者は城郭考古学者で奈良大学教授の千田嘉博氏。この人は名古屋城石垣部会のメンバーのひとりとして、名古屋城再建の石垣調査にも深く関わっている方です。
そこでこの石垣の名城の序章部分に、石垣ニュースとして名古屋城の石垣の調査について解説しています。
名古屋城大天守は、河村たかし名古屋市長が木造再建を進めているのですが、天守を支える石垣の天守台を調査する石垣部会が、いつまで経っても再建工事のGOサインを出さないことで、揉めています。
インターネット上の意見では、石垣部会はとにかく木造再建に反対で、あれやこれや理由を付けて名古屋城天守閣の木造再建を遅らせようと頑張っている、という趣旨の意見もあるくらいです。
でも?
肝心の石垣部会の言い訳というか、言い分を千田嘉博氏はこの石垣の名城でちゃんと解説しています。
簡単に言うと、千田嘉博氏は名古屋城大天守の石垣を得意のレーザー測量で調査した結果、石垣内部に変形があることを確認できたので、まずはこの変形部分を治さないと、その上に天守を築いたところでかなりのリスクがあるという事を、遠回しに言っています。
つまり名古屋城大天守の石垣は、かなりヤバい状態になっている。
それをレーザー測量の図面で解説していますので、名古屋城再建に興味がある方全てにチェックして欲しいですね。
石垣の学問とは
『石垣ってさ、石が組み合わさっているだけでしょ?』
という方もいると思いますが実はそうではなく、組み方、つまり工法や時代性といったものがあるんです。
これは城郭研究上でも、特化した科目になるくらい奥が深いものなのですが、その石垣について詳しく解説したのがこの本です。
というか、石垣メインの本ですね。
私の感想
私の感想ですが、石垣ネタでよくぞ一冊の本が書けました!というのが最初の驚きでしたが、千田嘉博氏的には、1冊では物足りないくらい、石垣について語ることができると思います。
また石垣の博物館といわれるくらい、多様な石垣を見ることができる金沢城をはじめ、全国の石垣が見事な城をマップ付きで解説しているものだから、日本100名城、続日本100名城スタンプラリーをやっている方も、この本で石垣の見事な城の見どころをチェックしてから行くと、城巡りの楽しみも増えるでしょう。
あと石垣について深く勉強したいと思っている人は、この本がバイブルにもなると思います。
とにかく、石垣好きの石垣好きによる石垣好きのための本といっても過言ではない本です。
まずはあなたの近所の本屋で探してみてください。
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